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2章 卒論=技術文章の書き方 (6)

2.5 グラフの作り方

Microsoft Excel は、優れたスプレッドシートだが、基本的にビジネス用に作られている。なので、Excelで作成したグラフを技術文書に用いるには、修正を要する。

2.5.1 散布図

工学系でもっともふつうに使う図である。Excelでは、散布図と呼ばれる。x軸に示されるパラメータを可変し、その時の測定値をy軸に表す。
図2.13は、x軸に示される信号周波数を変えたときの電圧ゲイン変化をy軸に表したグラフである。

図2.13

どうやって...

Excelでの散布図の出し方は、タブの挿入からリボンの「散布図(平滑線とマーカー)」をクリックする。
散布図

[1] サイズ

グラフをディスプレイ上で拡大して作成すると印刷されたときの文字が小さくなりがちである。なので、ディスプレイに印刷される(刷り上がり)サイズと同じになるように表示しながら作成をする。
① 印刷サイズの横幅は、A4二段組みなら80mmくらい、一段では120~140mm位である。確認して幅を合わせる。

② 縦幅は、適切なバランスになるように定める。曖昧やなぁ

③ 「グラフタイトルの削除」図番号、図台を付けるのでいらない。

④ 「凡例」は後で一を決めるので、とりあえず「凡例の書式-凡例のオプション」から「凡例をグラフに重ねずに表示する」オプションのチェックを外しておく。

[2] マーカーをモノクロでも区別できるように

図2.13は、カラーで見やすいですが、モノクロでも区別できるほうが好ましいでしょう。 ① マーカーの形状を変更する。

② 平滑線は、モノクロ印刷で区別できるように、色の濃さを変える。

③ 理論値や計算機(シミュレーション結果)およびコンピュータやデータロガーを用いた連続測定値では、マーカーは示さないで特性曲線だけとする。

モノクロ

これじゃあだめなのか....

色は、最初作成した時と変わらないが、モノクロでも区別がつくように点線のパターンを変える。
点線

[3] 軸と目盛り

軸の先端に矢印があるものは、その軸のパラメータが無限まで達することを意味する。だが、エンジニアリングにおける解決案は、決められた条件の範囲で有限の機関、機能するものである。想定された負荷の範囲内で、設計された期間、機能を損なわないようにデザインすることが、エンジニアリングにおける信頼性である。したがって、矢印は入れない。 ① リニア軸か対数軸かを決定する。原則として、対数軸としたときに直線的に推移する特性の時は、対数軸とする。

② グラフ軸の範囲は、設定したパラメータおよび測定値がはみ出さないように。

③ プロットエリアに軸の数値が入り込まないように、ほかの軸との交点を設定する。ゼロを中心としてプラス・マイナスにデータが分布するときも軸の数値はグラフエリア外に。

④ 縦軸と横軸の線は1.0ポイント以上の太さ、黒色にする。

軸

ほんまにこれであっとんかいな

[4] 軸ラベル

【×な軸ラベル例】 \( I \)〔mA〕
量記号だけ示すのはダメ
【〇な軸ラベル例】モータ駆動電流〔mA〕or モータ駆動電流\( I \)moter〔mA〕
測定したものが何かわかる名称とする。量記号を定義しているときは、併せて示す。

② 単位を記入する。本文中で単位を括弧で括っているときには、軸ラベルにも同じ括弧を用いる。百分率表示は、単位記号ではないが100倍されていることを記すために、

モータ駆動増減率〔%〕

と示す。

③軸ラベルはそれぞれの軸の中央付近に、x軸は横書きとして、y軸は下から上への横書きとして配置する。

④ 文字色は黒。サイズは、軸の数値より1~2ポイント大きめとする。

軸ラベル

ここまで3時間、、長かったなぁ

[5] 軸の数値(軸のオプション-表示形式)

① 軸の数値の桁数が、例えば、図2.13のように「200000,400000, ...」と多いと読みづらくなる。指数を用いるか、接頭語を用いる。

② それぞれの軸の数値は、データの有効数字の最小桁を下回らないように最初の桁をそろえる。例えば、「0.12, 1.23, 2.34」であれば、「0.00, 1.00, 2.00, 3.00」か「0.0, 1.0, 2.0, 3.0」が好ましい。

③ 数字は黒色、サイズは8ポイント以上とする。

数値

逆に見にくくなった気が、、

[6] プロットエリアのフォーマット

技術文書ではプロットエリアを枠で囲むグラフが一般的であるが、縦軸と横軸だけとするものもある。分野ごとの慣習もあるので指導教員とのご相談を、、、
ただし、当然ではあるが論文中でのグラフフォーマットは統一する。
① 下の図三つのなかからフォーマットを選ぶ、基本目盛りは内向き。

② 枠線は縦軸と横軸を同じ太さとして、黒色にする。

③ 目盛り線は枠線より1~2サイズ細くする。対数軸では、補助目盛り線を主目盛り線より細くまたは薄くするとよい。

図2.15

プロットエリア

ここで気づいたが、〔3〕でリニア軸か、対数軸にするか見やすいほうにするとあったが、これは対数軸のほうが見やすかったらしい、どうやって判断するねん。わかるかいっ!
しかもいつ数値の最大最小きまったんだよ...そして凡例右に寄せとけ言うたのになんで下にいっとんねん勝手にきれいにするな。
まぁ、あとは縦軸みすってたな

[7] 凡例

① 凡例の枠線は、目盛り線がないときにはあってもなくてもよい。目盛り線を用いたときには、凡例の枠線をグラフの枠線をグラフの枠線と同じか1サイズ細くして、凡例のなかを白く塗りつぶす。

② 凡例は、プロットや特性曲線を覆い隠さないところに配置する。

③ 特性曲線と凡例が同じ並びになっているかを確認する。 めちゃくちゃ気になってた、、、

[8] ワープロに張り付ける前に

Excelからワープロに張り付ける前にグラフエリアの枠線を消す。ワープロに張り付けてからだと消せない。

[9] その他

また、凡例を使わずにテキストボックスを使ってそれぞれの特性曲線にパラメータ名を表示したり、軸の書式設定から表示形式コードを図2.16の上部に記されたコードにすると下のようなグラフになるらしい。

図2.16

確かに見やすいね、、

2.5.2 棒グラフ

複数群の平均値比較には、棒グラフを用いるのが良い。ここでは、標準偏差を表示する方法を説明する。
棒グラフを作成してから、タブの「グラフのデザイン」からリボンの「グラフ要素の追加」を選択し、そこから誤差範囲を追加する。そこからは、誤差範囲の書式設定から誤差範囲をユーザー設定にして特定の数値を入力すればできる。あとは、散布図でも用いたことを行う。

棒グラフ

2.5.3 円グラフ

円グラフは全体で100%となるようにデータの構成比率を示す。直感的に割合がわかりやすく、アンケート結果の表示などに適している。

誤円グラフ

わかりやすい!?!?!?!?!?!?!?!?

円グラフを用いるときは、データラベルに要素数を、また、図台にサンプル数を(n=179)のように示す。これによりサンプル数と構成比率を同時に把握できるようになる。(図2.20)

図2.20

2.6 提出する前に

2.6.1 推敲しよう

書いたプログラムが一度で動くことがないように、書いた論文にも間違いは存在する。ですので、書いて、読み直して、チェックする。締め切りギリギリになってから記していては間違いだらけであるので、締め切りには余裕を持たせよう。スマブラなんかしてる暇ないかもね、、、

推敲とは

詩や文を作るとき、字句を何度も練り直すこと
〔故事〕中国の唐の詩人買島が「僧は推す月下の門」の句を作り、「推す」を「敲く」にするかどうか考え迷って何度も練り直したことからくる言葉。

書籍では、三回もプリントアウトして確かめるらしいが、それでも間違いが残ることは少なくないとのこと。
プリントアウトして確認すると、ディスプレイではわからなかったことに気づく。なので、描いた論文は、少なくとも3回はプリントアウトして確認すること。

2.6.2 チェックリスト

論文が出来上がったら、正しくフォーマットが守られているかを確認する。以下にチェックリストを示す。

(1) フォーマット

  • 用紙サイズ, 余白は指定されたサイズか
  • 段組,1 行の文字数, ページ内の行数は指定された通りか
  • タイトル, 氏名は指定されたフォント,ポイントを用いているか
  • 章・節・項・目の番号, 図番号, 表番号, 数式番号は正しく振られているか
  • 章・節・項・目のフォーマット(フォント、ポイントなど)は指定された通りか

(2) 本文フォーマット

  • 指定されたフォント,ポイントを用いているか
  • 途中で改行幅が変わっていないか
  • 段落を丸ごと字下げしていないか
  • 段落の冒頭は全角1文字下げているか(半角が混同しないように)
  • 本文は両端揃えとなっているか
  • 句読点の種類(「。(まる)」と「.(ピリオド)」)を混用していないか
  • 和文の句読点は全角となっているか
  • 欧文表記の句読点は半角+半角スペースとなっているか
  • 箇条書きの語尾形式は揃えているか(1.3.3項〔2〕(4))
  • 数字, 変数, 量記号, 単位は半角になっているか

(3) 文

  • 文の主語と述語のねじれはないか(1.5.2項, 1.5.3項)
  • 述語を羅列していないか(2.2.4項〔7〕(8), 2.2.7項〔9〕(3))
  • 長すぎる文(1段組:3行以上, 2段組:4行以上)はないか(1.7.1項)
  • 漢字とひらがなを適切に使い分けているか(1.6.2項), 常用漢字でないものを用いてないか(1.6.1項)
  • 専門用語は正しく記しているか(2.1.6項, 2.1.7項)
  • 略語は最初に使うときに正式名称を示しているか(2.2.5項〔6〕(3))
  • 単位の括弧表記がゆれていないか(2.3.3項〔2〕)

(4) 参考文献

  • 本文中の文献番号は正しい位置に挿入されているか(2.2.11項〔1〕)
  • 本文中の文献番号は, 参考文献リストの番号と正しく対応しているか(2.2.11項〔1〕)
  • 文献番号の括弧は, 本文中とリストで同じになっているか(2.2.11項〔1〕)

(5) 図表

  • 内容を適切に表す図題・表題がつけられているか(2.2.5項〔4〕(3))
  • 図番号は図の下, 表番号は図の上にあるか(2.2.5項〔4〕(3))
  • 図表に関して本文中で説明されているか(2.2.5項〔4〕(1))
  • 配置位置は適切か(2.2.5項〔4〕(4))
  • 図表の中の要素名称は, 本文と同じになっているか(2.2.5項〔3〕(5))

(6) 数式

  • 配置は指定されたとおりか(2.3.2項)
  • 数字, 変数, 量記号は半角となっているか(2.3.1項)
  • 数字, 式記号は立体, 量記号・変数は斜体となっているか, 混用していないか(2.3.2項)
  • 数式と本文とで変数の立体/斜体が違っていないか(2.3.2項)
  • すべての量記号・変数を本文中で説明しているか(2.3.2項)

2.7 本章のまとめ

プログラムの動作を確かめて修正するように、論文では、書いた文章を読んで見直す。 動作のタイミングや処理時間に気を配るように、主語と述語が対応しているかなどを確認する。
まず1章で示されたルールに沿って、創ったものや図ったことを文字にする。その次に、2章に示された論文構成に従って、構成の確認をする。
要点を一つ一つ直していこう。