コンテンツにスキップ

2.2 論文の構成

工学系であれば今までに様々な実験レポートを書いてきたはずです。実験は講義で習った知識を測定を通じて理解する、測定技術を習得する、レポートの書き方を学ぶといった目的があります。したがって実験レポートの書き方を身に着けているのなら卒論の書き方も身[]に着けていることになります。ただし、実験レポートは、書き手がその実験を通じて学んだことを示すために記しました。これに対して卒論は「書き手が作ったものや測ったものをほかの人に知ってもらう」という観点から記します

2.2.2 タイトル

人はタイトルを見て、その記事を読むかどうかを判断します。そのため論文では「いかに内容をコンパクトにまとめるか」が重要になってきます。

[2] タイトルのつけ方

タイトルに必要な情報は、その論文が何について書かれているのかです。短く表すのが最適ですが、短すぎて不明確になっては元も子もありません。太一るには「何を研究しどのような知見を得たか」をコンパクトに表すことが求められます。

論文タイトルのつけ方

論文のタイトルには以下の2項目以上をつけるようにしましょう

  • 対象は何か

  • 目的は何か

  • どのような技術を用いたか

  • どのような結果を得たのか

[3]内容を表しているか

最もふさわしくないタイトルは、内容と乖離しているものです。

  • タイトルは論文の内容とあっているか

  • 結果に示したデータは、タイトルにあったものか

  • 考察に記した内容は、タイトルに関連しているか

[4]略語を使わない

例: ×Li-Po→〇リチウムイオンポリマー   ×UAV→〇小型無人航空機

[5]英文タイトル

論文のタイトルでは「~の研究」「~の考察」「~の開発」などの修飾語が入っている場合がありますが、英文での論文ではこれらは不要です。

2.2.4 はじめに

論文の最初の章であり、「はじめに」「まえがき」「緒言」「背景と目的」などのタイトルとします。

[1]はじめにとはその研究開発がどれだけ役立つものかを読み手に伝えることを目的とします。つまりはその研究の目的と論文の目標を示します。

[2]研究の必要性

解決すべき課題が不明確では開発したものが有用なのか否かもわかりません。開発の目的を理解してもらうために研究の必要性を読み手に説明する必要があります。

(1)状況と動機を説明する

「なぜ」「何のために」そのアイテムを開発しようとしたのか、完成すれば「どのようなメリットがあるのか」を記します

(2)研究の位置づけ

それがどれだけ画期的ですごいアイデアだと思ったとしてもどこかで誰かが同じようなことをやっているものです。まうは論文を検索し、参考にできる点がないかを検索します。

(3)参考文献に対して二言

参考文献としてあげるからには研究との関連を記し、避難中傷などはしないようにしましょう

[3]課題と解決案

アイテムを開発する際には現状ある課題とそれに対する解決案を明示します

[4]何をどこまで明らかにするのか

「はじめに」の項目では論文の目標に当たる「なにを」「どのように」「どこまであきらかにするのか」を記述します。

[5]研究範囲を明確にする

チームで一つの研究をし、論文を書く際には自分がどこからどこまでを担当したのかを書きましょう。

[6]気をつけること

(1)読み手に推測をさせない

「さまざま」や「いろいろな」などといった書き手の言いたいことを推測させるような表現は使わないほうがいいでしょう。

(2)~(4)言及することがらは省略せずすべて列挙する

言及する事柄は、省略して読み手の想像に任せるのではなくすべて列挙するようにしましょう。

例 ~など、~についての課題、問題、~という

(6)~(7)文献番号を書くと記さない

「先行研究」だけではどの研究かわからないためしっかり文献番号を書きましょう。また自分の研究室のほかの論文を引用するときも「本研究室」ではなくちゃんと文献番号を記載しましょう

2.2.5 アイテムの記述

この章では目標を達成するための解決案を記します。具体的にはアイテムに用いる理論やメカニズムアルゴリズムの特徴などを説明します。

[2]章のタイトルと構成

開発したハードウェアやソフトウェアの名称をタイトルにします。

[3]アイテムの記述

(1)アイテムは全体から細部がたに従って説明する

ハードウェアを伴うシステムでは、全体構成から各部のセンサやユニットへ説明します。

(2)要素名称

システムの中での役割、すなわち目的に基づいた要素名称を付けます。

(3)機器の説明

研究に使用した機器を紹介するときには機器名に続いて全角の丸かっこでメーカー名と商品名を記します。

(4)各部分の説明(ハードウェア)

読み手には実態図よりもブロックダイアグラムのほうが伝わりやすいが実態図も物理的な配置を示せるメリットがあるので、より良い方法を選びましょう。ここでも全体から細部への説明にしましょう

(5)各部分の説明(ソフトウェア) 説明ではプログラム中でのデータの流れ、動作の順序、ソフトウェア階層のいずれかに沿った順序とします。

[4]説明図

図はそれだけを見てもわかる用意構成し、図の内容は必ず本文中で説明します。この際図と文章は同時並行で作ったほうが後々の修正をする手間が省けます。また図は必ずすべて自作しネットからの引用はたとえ一部であってもしてはいけません。

(3)図題

図題には「実験装置」や「開発システム」などの一般名称はつけないようにしましょう。また複数の図に同じ図題をつけてはいけません。図1,図2...のようにしましょう。

(4)図の配置

図は原則として、説明を記した段落と次の段落の間に配置します。説明→図→説明のような順序にしましょう

(6)気を付けること

(1)開発のためのデータ収集はアイテムの記述に含める

開発のためのデータ収集、いわゆる予備実験はアイテムのためのデータ収取なので、アイテムの記述の欄に記載しましょう。また記載の際も予備実験とは記さずに、~の実験をしたとだけ記しましょう。

(3)初登場の単語は正式名称で記しましょう

(4)やたらと分割をしない

どこからどこまでが一つのまとまりになっているかわからないので細分化しすぎないようにしましょう。

(5)写真に余分なものを入れない

写真に余分なものを入れると何の写真かわかりずらくなってしまうのでやめましょう